よつば君

お願いだから土下座して〜。お願いだから〜。

「お願いだから土下座して」

小2の娘から言われた。それも猫なで声で。

なんで土下座しなければならないのか。意味がわからない。

娘に理由を問うと、「一度見てみたいから」

そんな理由で土下座などできないと断った。

 

目次

 

土下座をねだる娘

しかし、娘はしつこかった。

「お願い、お願い、ね、一度だけでいいから」

何度言われても嫌なものは嫌だ。

でも、なんで土下座に興味を持ったのか、その辺りを問いただすと

「ドラマで見たから」とのこと。

何のドラマか忘れたようであるが、その土下座が印象的だったので、再現して欲しいとの事だった。

娘に土下座の意味を説明し、娘に対して何も悪いことをしていないから土下座はできないことを伝えた。

謝罪を求める娘

「じゃあ、謝って!」

娘の態度が急にキツクなった。その豹変ぶりに戸惑う私に娘は続けた。

「私の貯金箱から500円とったでしょう!早く謝って!」

取ったというか、借りただけだ。確かに娘の了解は得ていない。バレないと思って後でこっそり返すつもりだった。しかし、何故私と思ったのか?

「お父さんじゃないかもしれないぞ!」強い口調で私は返したが更に強い口調で

「お前は信用されてねーんだよ!」と娘に怒鳴られた。

一生懸命頑張っているのに。家族のためと思って夜遅くまで働いているのに。そんな酷い言い方しなくても。

私は、涙ながらに土下座した。

「申し訳ありませんでした・・・」

今までで一番心のこもった土下座だった。

「なんか違うな〜」娘から思わぬ言葉が飛び出した。

もっと両手に頭をこすりつけるようにやってもらわないと〜

(もうどうでもいいや。)

「申し訳ありませんでした」

 

「すいませんでした」

 

「許してください」

 

「・・・・・・・」

 

私は娘の気が済むまで土下座を繰り返した。

そして土下座マスターになった。

これで、いつ失敗しても大丈夫だ。