日本人は人の財布は盗まないが、人の時間は平気で盗む
これは世界的に有名な経営学者のピータードラッカーの名言です。
実際は、ドラッカーが言った言葉ではなく、ドラッカーの「時間の収支表は常に大赤字である」の言葉を基に別の人が言った言葉ですが。
確かに日本人は財布を盗むどころか、落ちている財布も律義に警察に届ける真面目な人種ですが、時間に関しては世界一ルーズな国民として有名です。
日本人の感覚では、世界でも時間に厳しい人種と思いがちですが、外国人に日本人の時間間隔を訪ねると、ルーズと言った答えが返ってくることに驚きます。
確かに、電車の発車時間は世界一正確ですし、待ち合わせにも遅刻することはほとんどありません。
そのような状況を踏まえて、外国の友人に改めて本当に日本人は時間にルーズなのかと問いただしてみると、発車時間や会議のスタート時間は正確だ。でも、予定通りに終わったことが無いと言っていました。
会議自体に意味がない物が多く、それだけでも我慢ならないのに、終了時刻になっても一向に終わらず、意味のない議論を繰り返している。5分程度なら我慢できるが、30分オーバーなんて当たり前、1時間も延長することもある。無駄な時間を返してほしいとさえ言っていました。
無駄な会議の話は他でも問題視されているので特にここでは話しませんが、確かに時間通りに終わったことなんたないと思った方もいるでしょう。
ただ、奪われている時間は会議だけではありません。
サービス残業や休日出勤なんて時間泥棒の最たるもので、タダ働きまでさせて、時間と気力まで従業員から奪い取り、それが当たり前と言われている日本人の労働環境に大きな問題があり、それも知っていて何も手を打たない経営者は犯罪者と言われても反論できないでしょう。
時間と気力を奪われた従業員は最終的に生きる気力を失い、精神的に病んでしまい、自らの手で人生を終わらせる者まで出ています。
これは、もう時間泥棒のレベルではなく、れっきとした殺人ではないでしょうか。
これもらは、日本人の責任感の強さを利用して従業員を洗脳した会社と言う名のカルト集団に他なりません。
会社に時間を奪われることにも腹立たしさを感じますが、自分も人の時間を奪っていないか考えなければなりません。
部下に押し付けた仕事、同僚に頼んだ仕事のせいで、必要のない残業をさせたりしていないか。
今一度、自分と周りの同僚の時間に対する感覚を正常に戻す必要があります。
我々が会社の事を想っているほど、会社は我々の事を想っていません。会社が思っていないというより、経営者は思っていません。
責任感という本来は前向きな感情を利用して、時間内では完了できない仕事を押し付けて、時間内でできない時は、効率が悪い、考えて仕事をしろなどと、馬鹿の一つ覚えのような責任転嫁の発言を繰り返すだけです。
経営者は従業員を使い捨ての歯車ぐらいにしか考えていません。歯車は壊れたら新しいものに交換すれば良いですが、捨てられた歯車に行き場所はありません。
人間ではなく、歯車としか思われていないので、時間だろうが、家族のだんらんだろうが、人間らしい生活は奪われていくのです。
人に時間を平気で盗んで、それで罪悪感も無い訳ですから、それが日本の労働環境の長きにわたる悪しき慣例と割り切って、サービス残業を続けるか、出世やっ昇給などを諦めて早く帰るか、何が自分の求める幸せ化を考えて会社に対する接し方を考えても良いと思います。
自分に万が一のことがあった場合、会社は間違いなくあなたを捨てます。そんな会社の為に時間を無駄に使いたくないでしょう。